表面筋電図を使用した研究

表面筋電図は、筋が収縮する際に発生する活動電位を、皮膚上に設置した電極により導出することで、視診や観察ではわかりにくい細かい動作、筋収縮様態や筋疲労を解析する生体信号処理方法の1つです。
下井研究室では、この表面筋電図を使って、様々な動作中の筋活動様態について研究しています。例えば、臨床でもよく利用されている、継ぎ足歩行中の下肢や体幹筋群の活動様態などを観察することができます。
継ぎ足歩行中の下肢・体幹筋群の
筋活動様態を表面筋電図で解析しています
各歩行中の中殿筋の筋活動
普通の歩行に比べて、継ぎ足歩行では、
立脚期前半のピークは低くなっていますが、
立脚期後半でも中殿筋が活動していることがわかります
修士論文指導
坂本真一:ランジ動作における足圧分布の相違が膝関節周囲筋群および脊柱起立筋群の筋活動量に及ぼす影響
学会発表
また、筋電図では、周波数解析というデータの数学的な処理により、筋疲労の状態や筋伝導速度の変化などを知ることができます。
上の図は、足関節背屈の2分間の等尺性収縮(50%MVC)をした際の、前脛骨筋の筋電位と筋出力を記録したものです。
上の段の赤の線の図が筋電図、緑の線が筋出力を示しています(筋出力はプラス・マイナスが逆になっているので、グラフが下向きになっています)。
時間の経過とともに、筋電位の振幅が大きくなり、緑の線の筋出力が低下していっている様子がよくわかるかと思います

同じ力を発揮しようとしても、筋疲労のために筋出力が低下し、一定の筋出力を維持しようとして、電気的な筋活動(運動単位のリクルートメント)を増加させていることを示します。
一定筋出力下の、筋力低下と筋電位の振幅(あるいは積分筋電位)の増加により、筋疲労を定義することができます。
○で示した運動課題開始直後と運動課題後半の筋電位を周波数解析したものが、次の図です
周波数解析では横軸(y軸)が周波数、縦軸(x軸)が量(の2倍)を示します。
運動課題開始直後の左の図に比べて、運動課題後半の右の図は左に寄った感じになっています。これは、筋疲労によって、筋電位の高周波数成分が減って、低周波数成分が増えたことを示しています。これを筋電位周波数成分の「徐波化」といい、筋疲労の定義の1つとなっています。
丸山仁司, 下井俊典:特集 疲労・倦怠, 理学療法, 総合臨牀, 55(1) : 127-132, 2006.